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2006.05.17

ハリーポッター発売

今日これからハリーポッターを買いに電車に乗って出かけてきます。
本日は第6巻「ハリーポッターと謎のプリンス」の発売日です。
地元の本屋さんも店頭に山積み、気合が入っています。
でも僕はハリーポッターを買う店は決めてるんです。

出版社の営業をしていた頃、都内のその書店へ営業に行ったある日、見知らぬ分厚い本が一番いいコーナーに山積みになっていました。子ども向きの本みたい。翻訳書でいい値段だし、そのコーナーに違和感を感じました。
「店長、これ何ですか? 売れてるんですか?」
「いや、これはな、オレが売ってやろうと思ってな」

いまやすっかり有名になった出版元・静山社の松岡社長ですが、第1巻の刊行にあたり、取次(本の問屋さん)に相談し、何軒かの書店に企画の説明をし、事前リサーチをかけていたのでした。この書店の店長はその一人でした。
「これは売り方によっては売れる!」と判断した店長は思い切った数を仕入れて、当時まだ海のものとも山のものともわからない、このハリーポッター第1巻に勝負を賭けたのでした。
ちなみに、第1巻の訳者あとがきには、この店長の名前が出てきます。

僕はその場で一冊買いました。移動の電車の中で読み始めたら止まらなくなりました。
「これ、めちゃくちゃ売れるかもしれない」と思うと震えがきました。

別の場面ですが、この店長の名言。
「本屋だって本当はみんな、売りたい本を売りたいはずなんだよ」
出版不況が叫ばれる中、本屋さんの意地とプライドを見せているのです。

「本屋さん大賞」もしかり。売りたい本、ぜひ多くの人に読んで欲しい本を売ろう、伝えていこうという意思が現場から伝わってきます。
先日の日経新聞に「本屋さんにすすめられた本しか買わないようでどうする、書店員の手書きPOPとか本屋さん大賞とか、なにごとだ。嘆かわしい」という論調の文章を知識人だか文化人だかみたいな人が書いていましたが、何を言っているのか! 本を殺しているのはお前だ! と佐野眞一にチクってやろうかと思いました。

ハリーポッター第4巻。この頃にはすでに発売前からのベストセラーになっていました。朝5時の発売解禁と同時に、全国の本屋さんで早朝販売が始まりました。
僕はその日、一時間早く家を出て、何軒かの担当書店へリポビタンDを差し入れにまわりました。

第1巻を僕にすすめてくれた件の店長は、一人早朝出勤し、路面にテーブル一つの店を出し、出社中のサラリーマンに声を振り絞って販売していました。
遠目にその姿を確認した時、僕は涙が出そうになっているのに気がつきました。
「店長、おはようございます、おつかれさまです。1セット買わせてください」
それだけしか言えませんでした。いい歳をしたオヤジが、朝一番で一人で路上で本を売っている。何かしゃべると涙がこぼれそうで、リポDを押し付けて早々に会社へ向かいました。
僕は第1巻以来、ハリーポッター全巻、そのお店の永久予約読者です。
会社は辞めましたが、そんなことは関係ありません。

今日これからハリーポッターを買いに電車に乗って出かけてきます。
ごぶさたしている店長の顔を見てきます。
今日のブログでは、ハリーポッターのアマゾンへのリンクは張りません(ゴメンネ、アマゾンさん)。
みなさん、ハリーポッターは、ぜひ近所のごひいきのお店で買いましょう。それも早いほど本屋さんにはありがたいです。
今週中に買いましょうね。

200605171142372
男一匹!
東京飯田橋
ラムラブックセンター芳進堂
店長 武藤浩平氏

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コメント

まろさん、飯田橋まで買い出しおつかれさま。
読んでいてしみじみ、すごくいい記事だなあと思いました。
今日だけじゃなくて、これまでのお仕事ぶりも心意気も、よく伝わってきます。
同じ業界にいる人間として、心に刺さりました。
芳進堂の店長さん、ほかの書店員さんも、がんばれ。
私も、みんなが幸せになるいい本を作ろう、と強く思います。

投稿: ぺこ | 2006.05.17 23:56

心意気の伝わる仕事を、勝負をかけてできる人こそ、まさにプロ。そんな人たちと仕事をできたマロは幸せ者です。

投稿: SHOKO | 2006.05.18 04:02

ぺこさん、コメントありがとう。
全国の書店さんはみんな熱く、売っています。「売ろう」「売らなきゃ」がイベントになっているところが好きです。
ちなみに第五巻の発売日には高松にいて、朝の7時に高松駅でコスプレ販売していたくまざわ書店さんで、つい1セット買いました。(もちろんその後芳進堂でも買いましたよ)
がんばってます、本屋さん!

投稿: まろ | 2006.05.18 07:37

shoko さん、コメントありがとう。
思えば前職の間、よく泣いてました。心意気を感じると泣けてきます。泣き虫です。

投稿: まろ | 2006.05.18 07:39

最近は本屋さんにしろCD屋さんにしろ、取り寄せも面倒臭そうだったり、お断りだったりするので、あまり行かなくなってしまいました。うちの街だけかな?特に若い販売員さんは商品知識を持とうという意識もないみたい。「ネットで調べれば?」と言われたことすらあります。給料内の仕事じゃないと思っているようです。
この書店の方みたいに「情熱と誇りを持って仕事せんかい!」と言ってやりたいです。

投稿: curious mama | 2006.05.18 08:39

はじめまして。
TBありがとうございました。

とてもいい記事ですね、何かじ~んときちゃいました・・・
そういう本屋さん、私も見つけてみたいなあ~。

また遊びにきますね!

投稿: ポルン | 2006.05.18 09:24

curious mama さん、そうなんです。今は「職人」さんがいなくなってるんです。
注文取り寄せって、本屋さんにとって直接利益が少ない仕事なんです。「うちは取り寄せは扱いません」っていう本屋さんもあるくらい。
でも、その場で儲からなくても小さなサービスの積み重ねって大切だと思いますけどね。

投稿: まろ | 2006.05.18 12:33

ポルンさん、コメントありがとうございます。
たまに遊びにいらしてくださいね。
アロマ、奥が深そうですね。

投稿: まろ | 2006.05.18 12:35

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