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2015.06.20

カチンときた

「カチンとくる」「カチンときた」「カッチーン!」などなどの表現がありますね。
「カチンがきた」「カチンがくる」とはいいませんね。
なぜ「カチン」の後には「と」という助詞しか続かないのでしょう?

「と」が続くということは、「カチン」の他に、もうひとつ何かがある、ということではないでしょうか。

カチンには、妹がいます。「コチン」です。
兄のカチンは、気が短くて、いつもぷりぷりしています。
何かあるたびに、すぐに「カッチーン!」。

妹のコチンは、おおらかな性格で、いつもニコニコしています。
穏やかな心をもっていて、「お兄ちゃん、そんなにカリカリしなくても……」と、いつもなだめています。

腹がたって、兄のカチンが頭から湯気を出しているときでも、たいがい妹のコチンは冷静です。
カチンが現れたとき、かならず近くにコチンもいるのです。

しかし、そんなやさしいコチンも、怒るときがあります。
兄妹が、一緒になって腹をたてるのですから、よほどのことです。

「カチン! コチン!」
は、とんでもない事態なわけです。こうなってしまったら、誰も兄妹をとめることはできません。

誰の中にも、カチンとコチンはいます。
カチンはわかりやすいのですが、コチンは何のためにいるのでしょう?
そこで、人々はコチンに尋ねます。
「きみ、誰と来たの?」
「カチンときた」

だから、「カチンがきた」でも「カチンがくる」でもなく、「カチンときた」なのです。

実はこの兄妹を題材にした、「カチンときた!」というアニメ番組が、昭和の時代に作成されたことがあります。
毎回クライマックスでは、あまりに理不尽な事態に、兄妹が一緒に怒ります。
「カチン! コチン!」
まあ、水戸黄門の印籠のようなものです。

手塚治虫先生も絶賛したというこのアニメ番組、開始直後に打ち切りとなったため、ほとんどの人がその存在を知りません。
なぜ打ち切りになったのか。
残念なことに、キメ台詞の「カチン! コチン!」の中に、放送するのには不適切な単語が隠されていたからです。

幻の名作、「カチンときた!」はいまでは誰も見ることができません。
ただ、「誰の心の中にも、カチンとコチンがいる」ということは、時代を超えた真実なのです。

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