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2016.06.18

ドラマ「重版出来!」が終わってしまった

火曜日のテレビドラマ「重版出来!」が終わった。
実に、泣かされた。

かつて出版社の営業マンだった身として。
「じゅうはん、しゅったい」とは言わなかったなー。「じゅうはん、でき」だった。

自分が責任者として重版を決定するのは、責任も伴ったけれど(売れ残ったらどうしよう……)、やっぱり編集者や他の営業マンや、著者と喜びを分かち合い、「よっしゃ、もっと売るぞ!」という高揚感に包まれる、幸せな瞬間だった。

生瀬勝久演じる営業部長は、そのあたりの裏腹さが感じられる、いい人だった。
刷ったからには、全部出荷する。その覚悟と裏付けがあって、なおかつ「売れる!」という確信がなければならない。
要するに、バクチ。プロのバクチだ。

1000部がいいのか、3000部がいいのか、5000部がいいのか、20000部がいいのか。
終わってみないと正解はわからない。
でも、刷った責任はあるから、返品の山ができたら、断裁処分する前になんとかもう一回市場に売り出すチャンスはないか、常に考えていた。

高田純次社長が、返品本の断裁処分の現場に立ち会うシーンに心を打たれた。そうなんだよなー。
ちなみに、現実の僕の会社の社長は、返品の山を目の当たりにして、「これ全部、印税もう払っちゃってるんだよなー、もったいないなー」と考え、「実売印税」という当時は珍しかったシステムを編み出した。すげー。

ドラマの中で、ライバル社の営業マンが勝手に棚の本を動かして、自社の本を目立つところに動かすシーンがあった。
僕は、著者にそれをやられた。
複数の書店から、「ある本が、売り場の中で勝手に動かされている」という連絡を受けた。担当編集者に問い詰めたが「自分の会社の著者を疑うんですか!」と開き直られて、いったん引いた。
それが悪かった。やっぱり、犯人は著者だった。
全国でも有数の某書店担当者が激怒した。呼び出され、「出版社として著者の教育ができていない!」と怒られた。ペナルティとして半年間、そのフロアにはわが社の本は(その著者の本以外も)まったく置いてもらえなかった。
それだけ「やってはいけないこと」なのだ。

10年以上前、たまたま本が売れた女性経済評論家が、自分の本の中で「私は書くこと以上に本を売ることを考えている。ひまがあれば書店に行って、手書きのPOPを渡してきている」と得意気に書いた。
いっせいに日本中の著者が真似をして、いまもそれがあたりまえのようになっている。
こわいこわい。
坂口健太郎、生瀬勝久の真剣さを、わかってほしい。

また、坂口健太郎がライバル社に負けまいと、「著者のサイン色紙を書店に渡したい!」と言い出したけれど、ひっこめたところも見どころでした。
「戦う相手を間違えていました」
深い。
「POPを持ってくるから置いてくれ」「ポスター作ってくるから置いてくれ」って、なんて簡単で浅はかな営業方法だろう。まあ、よっぽど人気のある著者ならわかるけど。

などなど、つい力が入ってしまうのですが、なかなか理解しにくい出版業界のさまざまな面に光を当てる原作本を、殺すことなく、うまーく料理したドラマだったと思います。
ふうー、黒木華ロス。

原作本で、一番好きなシーン。
Images


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