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2017.12.13

『食ものがたり』/著:彩陽

『食(しょく)ものがたり』
著者:彩陽(いろは)
出版社: SUGAO (2017/12/1)
ISBN-10: 4990990854
ISBN-13: 978-4990990855
発売日: 2017/12/1

著者の彩陽さんにはじめてお目にかかったのは、2015年6月のことでした。
共通の知人から紹介され、彼女が入院中のホスピス病棟へうかがいました。

あたりまえなのですが、病院という場所には「死」の気配が漂っていました。
応接用の陽の当たる部屋で、彩陽さんのお話をうかがいました。
持病の悪化により、全身の痛みと麻痺でベッドから起きることもできない生活の中で、彼女が選んだのは「物語を書く」ことでした。
1時間くらい話したでしょうか。
「お話をうかがって、彩陽さんが本を出そうと思うのなら、この3つのテーマのどれかでしょう」
と、テーマを絞り込みました。
そのひとつが、「少年少女にも大人にも楽しめる冒険ファンタジー」でした。
彩陽さんは、明らかにそれを書きたがっていました。
「そのテーマだと、おそらく出版社が見つからないと思います。自費出版でどうですか?」
彼女は、覚悟を決めました。

これまでに文章なんて書いたことがなかったのです。
2年以上をかけて、ああでもない、こうでもないと、彼女は原稿と格闘してきました。
調理師、ソムリエの資格をもつだけあって、テーマは「食」でした。

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ある国のまだ幼い少女が、ライオン、小鳥と一緒に旅に出ます。
行きついた先々の国で、「食」をきっかけにさまざまな人(だけではないのですが)に出会います。
少しずつ成長する王女が最後にたどり着いたのは……。
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彼女は、本気で1日24時間、自分の中にある漠然としたイメージと真剣に向き合い、言葉で表現してきました。
覚悟をもって、あきらめずに書き続ければ、本が書けるのです。
「人間はだれでも人生で一冊は本が書ける」といいますが、実際に書く人はまずいません。
彼女はそれを実現しました。
体調がすぐれない時期もありましたが、旦那さんのサポートを受けながら、物語に没頭しました。
その集中力と根気には、いつも驚きました。

何回も何回も何回も何回も書き直して、書き直して、ようやくできた本です。
せっかく書いたのに、あえて削除したシーンも、たくさんあります。
「あとがき」に彼女は書いています。
”ほとんど体を動かすことができなくても、唯一、空想することは自由にできるということに気がつきました。いつでも、どこでも、どんなときでも。”
自由な空想が、思うようにならない身体に羽を与えました。
彼女の「生きること」への希望が本になったのです。

編集者としてゼロから伴走させていただき、自費出版には商業出版とは違う種類の醍醐味があることを、つくづく感じました。
何十回も読んで、話の展開も結末も知っているのに、最後のゲラ読みで涙がこぼれました。主人公の成長がうれして、いとおしかったのです。

出版社や本屋さんの視点から見れば「売れる本」ではないのかもしれません。
しかし著者の想いが詰まった「熱い本」です。
冒険物語が好きな人。食に関心がある人。そして、いつか本を書いてみたいと思っている人。
ぜひ手に取ってみていただきたいのです。

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